特集

いたばしスイーツ 「欧風菓子 白鳥」Confection Parlor Shiratori

「ぶらり、いたばし」最初の食の特集は、みんな大好きスイーツのご紹介から始まります。 気鋭の人気店からクラシックな名店まで、小さなしあわせを生み出してきたパティシエにお話しをうかがいました。

欧風菓子 白鳥Confection Parlor Shirotori

白鳥 忠光(しらとり・ただみつ) さん



■ 「ケーキ屋さん」の原点

16歳で大型自動二輪の免許を取りました。当時はその年齢で大型が取れたんですが、試験場ではまあいじめられましたね。こんな小僧に大型が乗れるかって。その頃は合格率2%、大型免許が一番難しい時代だったらしいですが、意地で食らいついて合格できたのは6回目でした。体は大きい方だったのでバイクの扱いは何とかできたんです。いつもお店にあった牛乳を水代わりに飲んでいたから背が伸びたんだろうって母は言うんですが。

長い休みのたびに北海道などにツーリングに行っていました。テントを背負って家を飛び出して、休みが終わるまでずうっと行き当たりばったりの旅をしていました。

その頃からカワサキのZ1100Rというバイクに乗っているんですが、もう36年、自分でメンテナンスしながら同じ一台に乗り続けています。他のバイクに目移りしたのは一回だけですね。できる限りの修理やメンテナンスは自分で全部やります。機械いじりは何でも好きですから。


お菓子作りの専門の修行はしてこなかったんですが、手を動かして何かを作り出す、ものづくりという意味では一緒だと思ってます。

お菓子づくりにもたくさんの機械を使いますよね。もちろんメンテナンスはできる限り自分でやります。かなり機械の気持ちが分かるケーキ屋さん、だと思いますよ。



■ 先代から受け継いだもの

白鳥の形をしたシュークリームは先代のレシピのまま、なにも変えていません。

クリームが軽く上品だと言ってくださる方が多いんですが、それだけ当初のレシピが良かったんでしょうね。当時は高級なケーキ屋さんだったはずなので、贅沢な素材を惜しげなく使おうということだったんだと思います。

値段を上げない努力をし続けている内に、結果的に庶民価格のお店になっちゃいましたが。

シュークリームは型は使わずすべて手作りなので、姿かたちや顔つきは一つひとつ違います。持ち帰りのお客様も多いですし、シュークリームだけ50個とか、大量の注文も受けますが、皆さん召し上がる直前にちょこっと首の向きを直したりされているんでしょう。デコレーションでイチゴを別にしといてって方はたまにいらっしゃいますが、後で付けるから首だけ別にって注文は今まで聞いたことないですね。 



「板橋のいっぴん」に選ばれて、バームクーヘンを目指して遠くからいらっしゃるお客様は増えましたね。

それまでは近くの方、以前板橋に暮らしていた、って方が懐かしくてお求めになることが多いようでしたが、いっぴんだから、地元いたばしの名物だからって離れたご家族や友人に贈り物にする、差し上げるというケースが増えました。お墨付きをいただいたようで有難いかぎりです。


スイーツって、私にとってはひとことで言って「美味しいもの」ですね。

レシピを作った父も私も大の酒好き、辛党ですけど、ウチのケーキを食べると「あー、やっぱり美味しいなあ」と思います。ごほうびなんだと思います。



■ 輝きを増す「古いもの」

お店は昭和41年にオープンして、もう55年経ったのかな。

今の若いお客さんは、逆にこういう感じのお店の古臭いのがカワイイ、って来てくれるんですね。自分ではどこがかわいいのか全然わかりませんが。


ただ、古いもの、っていうのがあってもいいんじゃないかと思いますね。自分自身も古いバイクを大切にずっと乗り続けていますから、お店も同じように手を入れながら、このままのお店を残したいと思ってます。

とにかくこのまま、変わらずにやって行けることが一番の目標ですね。

なるべく安く価格を抑えて末永く商売が続けられるように頑張って行きたいです。


文・写真 = 小笠原 努
Information

欧風菓子 白鳥

弥生町31-15
TEL:03-3958-4425

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次回の特集は

「ぶらり、いたばし」次回の食の特集は 「いたばし世界グルメ旅行(仮題)」と題して、板橋区内で楽しめる本格的な各国料理の数々を大特集します!お楽しみに。