タカセ洋菓子 板橋店Takase Confectionery, Itabashi Store
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タカセ洋菓子株式会社 常務取締役 森 弘樹(もり・ひろき)さん
■ タカセ洋菓子・板橋店の誕生
タカセは大正9年に池袋でパン屋さんを始めました。昭和に入り、戦後の高度成長期になってパンやお菓子の需要が急激に拡大したんですが、そのために工場設置の場所を探して出会ったのがここ、板橋店の場所なんです。昭和41年の工場完成と同時にお店もオープンしました。その頃はパンの売店だけだったんですが、のちに喫茶店がオープンし、平成11年にはレストランができ現在の形になりました。
お店の裏には大きな工場がありますが、すべて自社店舗での販売用です。近くの保育園などからの注文でお届けしたりはしていますが、池袋店、巣鴨店の分も含めて、すべて板橋工場で作られた「製造直売」なんですよ。
板橋店では50種ほどのパンを販売していて、生菓子で20種類くらい、焼き菓子も20種類くらいは作っています。その他にレストランの食事メニューもあります。もちろんレストランも店内での手作りで、お菓子、レストランそれぞれ専門の調理スタッフが作っています。
実は池袋の本店は去年ちょうど開店100周年を迎えたんですが、コロナウイルス感染拡大の影響で何もできず、少し残念な年になりました
■ 「喫茶コーナー」のスイーツたち
フルーツパフェは池袋店に喫茶室ができた時からのメニューですから、歴史はありますね。通年メニューですが、仕入れを工夫して一年中いつでも同じものを出せるようにしています。
昔のタカセは池袋でフルーツパーラーや和風喫茶とか、いろいろやっていたんですが、その名残りであんみつですとか、お汁粉ですとか、今でもいろいろメニューに載っています。和洋の甘味がいっぺんに楽しめるのはタカセの特色かもしれませんね。
ウチとしてはフルーツパフェも喫茶メニューの一つであり、そんなに特別な存在ではないんですよ。
ただ、強いて言えば、アイスクリームは良いものを使おうと昔から努力しています。ラクトアイスとか、アイスミルクとかではない、乳脂肪分の高い本物のアイスクリームのみを使用しています。生クリームも純乳脂肪の生乳のみを原材料として、軽く口どけの良い風味を追及しています。ケーキにも同じものを使用しているんですよ。
板橋店でも池袋本店の喫茶室でも、男性お一人のお客様でフルーツパフェをご注文される方もいらっしゃいますよ。甘いもの好きの男性も多いですから。さすがにフルーツパフェの持ち帰りはできませんので、ぜひお店へ足をお運びください。
人気メニューの「季節のデザートプレート」は、実は板橋店だけのオリジナル商品なんです。季節に応じて変わるケーキを中心に、プレートの内容を変えています。裏ワザなんですが、ご常連のお客様は、「こないだあのケーキだったから今日はこのケーキで作ってよ」なんて方もいらっしゃるようです。場合によってはケーキの変更もできるかもしれません。スタッフに相談してみてください。
お店の場所が違えば土地の持つ雰囲気や客層も違ってくるので、そのお店ごとのオリジナリティは大切にしたいと思っています。スタンダードなメニューは変えずにお店ごとのオリジナルメニューもあっていいと考えているんです。それぞれ微妙なアレンジもあるようで、よろしければ食べ比べてみてください。
- ■ 変わらずそこにあり続けること
おかげさまでご常連のお客様に多く愛されていて、特にどんな秘訣があるというわけではないんですが、やはりここにタカセがあるという安心感は大切にしたいと考えています。
いたずらにお店を変えないこと。メニュー、味、店舗、そしてスタッフもそうです。
タカセでは必要のない限り店舗間のスタッフの移動はしないようにしています。ホールのスタッフはそのお店の顔として、お客様との関係性を築く存在ですから。天候の話し、体調の話し、世間のニュース、ちょっとした会話を交わすいつもの相手がそこにいる安心感をご提供したいと思っていますので。
私どもは会社名もタカセ洋菓子といいますし、もちろんスイーツ、洋菓子は大きな柱のひとつで、大切にしています。ただ、パンや洋菓子、レストラン、喫茶、それらの総合力というか、全部あるよというのがタカセの強み、魅力だと考えているので、それをもっと活かしていきたいなあと思っています。
今後も店舗を広げたり、増やしたりするつもりはしていないんです。板橋、巣鴨、池袋、それぞれの町の中で、キラリと光る存在でありたい。そのお店を磨き続けていきたい。商品、スタッフ、施設、それぞれを磨いて、もっと愛される存在でありたいんです。
- 文・写真 = 小笠原 努
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Information
タカセ洋菓子 板橋店
板橋1-37-10
TEL:03-3962-7301